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写真のしくみ

用語集

本文に出てくる 263 語を、はじめて出てくる章ごとに並べています。英語の名前は、海外の資料や現像ソフト、画像検索で使われる呼び方です。

01 カメラという装置

デジタル一眼レフ DSLR
レンズを通った光をミラーで上へ反射させ、光学ファインダーへ導くカメラです。ファインダーで見えているのはレンズを通った光そのもので、撮影の瞬間だけミラーが上がり、光がセンサーに届きます。
ミラーレス mirrorless
ミラーとペンタプリズムを持たず、センサーが受けた像をそのまま電子ビューファインダーに出すカメラです。一眼レフの機構をソフトウェアに移した機械と考えてみてください。
ミラー reflex mirror
一眼レフでレンズとセンサーの間に斜めに置かれた鏡です。撮影の瞬間だけ跳ね上がり、光をセンサーに通します。
ペンタプリズム pentaprism
ピントグラスに映った左右が逆の像を、屋根形の面を持つプリズムの中で反射を繰り返して正しい向きに直し、光学ファインダーへ送る部品です。
光学ファインダー optical viewfinder / OVF
レンズを通った光をそのまま目に届けるファインダーです。見えているのは光そのものなので、露出設定を変えても明るさは変わりません。
電子ビューファインダー electronic viewfinder / EVF
センサーが受けた像を小型ディスプレイに表示するファインダーです。設定を反映した「撮れる絵」が撮る前に見えます。
露出シミュレーション exposure simulation
EVF や背面液晶が、現在の露出設定を反映した明るさで像を表示する動作です。仕上がりを撮影前に確認できます。
フランジバック flange distance
レンズマウント面からセンサー面までの距離です。ミラーを持たないミラーレスはこれを短くでき、そのぶんレンズ設計の自由度が上がります。
メカシャッター mechanical shutter
物理的な幕がセンサーの前を走って露光時間を決める方式です。幕は 1/250s 前後で画面を横切るので、電子シャッターより露光の時間差が小さく、歪みが出にくくなります。
カメラ・オブスクラ camera obscura
暗い部屋や箱の壁に開けた小さな穴から、反対側の壁に外の景色を逆さに映す仕組みです。カメラという言葉の語源で、写真機の原型にあたります。
ピンホールカメラ pinhole camera
レンズの代わりに小さな穴だけで像を結ぶカメラです。穴を小さくすると鮮明になるかわりに暗くなり、小さすぎると回折でぼけます。
コンパクトデジタルカメラ compact camera
レンズが交換できない小型のデジタルカメラです。レンズとセンサーの組み合わせが固定されているぶん、小さく作れます。
中判 medium format
35mm フルサイズより大きなセンサー(またはフィルム)の判型です。同じ画角ならボケが大きく、階調にも余裕が出ますが、機材は大きく重くなります。
コンピュテーショナルフォトグラフィ computational photography
複数枚の撮影と画像処理を組み合わせて、小さなセンサーやレンズの物理的な制約を補う手法です。スマートフォンの夜景モードやポートレートモードがその例です。
半押し half-press
シャッターボタンを途中まで押した状態です。この間にカメラはピントを合わせて明るさを測り、奥まで押すと撮影します。

02 レンズ

周辺減光 vignetting
画面の四隅が中央より暗く写る現象です。開放側で強く出ます。演出として意図的に足すこともあります。
フレア lens flare
強い光源の光がレンズ内の面で反射し、像に重なって画面全体のコントラストを下げる現象です。画面外からの光によるものは、フードで減らせます。
ゴースト ghosting
内面反射した光が、絞りの形をした玉となって光源と画面中心を結ぶ線上に並ぶ現象です。玉が絞りの形になるのは、光の束の断面が絞りの開口で決まるためです。
色収差 chromatic aberration / CA
ガラスの屈折率が波長ごとに違うために、色ごとの結像位置がずれる収差です。高コントラストの境界に、紫や緑の縁として出ます。
焦点距離 focal length
無限遠にピントを合わせたとき、レンズから像が結ばれる面までの距離です。長いほど像が大きく写り、そのぶん写る範囲(画角)が狭くなります。
歪曲収差 distortion
直線が樽形や糸巻き形に曲がって写る収差です。広角側で出やすく、建築や物撮りで問題になります。
屈折 refraction
光が空気からガラスのように、光の進む速さ(屈折率)が違う物質へ入るとき、境目で進む向きを変える現象です。レンズは表面の形でこの曲がり方を制御しています。
焦点 focal point
無限遠から平行に入ってきた光が、レンズを通ったあとに集まる点です。レンズから焦点までの距離が焦点距離です。
レンズの公式 thin lens equation
1/被写体までの距離 + 1/像までの距離 = 1/焦点距離、という関係です。被写体が近づくほど像は後ろにでき、大きくなります。ピント合わせと撮影倍率はこの式から決まります。
撮影倍率 magnification
被写体の実際の大きさに対する、センサー上の像の大きさの比です。1:1(等倍)なら 10mm のものがセンサー上でも 10mm に写ります。
最短撮影距離 minimum focus distance / MFD
ピントを合わせられるいちばん近い距離です。レンズの先端ではなく、センサー面から被写体までで測ります。
マクロレンズ macro lens
等倍(1:1)前後まで被写体に寄って撮れるように設計されたレンズです。花や虫、小物を画面いっぱいに写せます。
ワーキングディスタンス working distance
ピントが合っているときの、レンズの先端から被写体までの距離です。最短撮影距離はセンサー面から測るので、それより短くなります。マクロ撮影でこれが短すぎると、自分やレンズの影が被写体に落ちます。
レンズ構成 lens elements and groups
交換レンズの中に何枚のレンズがどう組まれているかです。「15 群 20 枚」のように、貼り合わせて一緒に動くかたまりを群、ガラスの数を枚と数えます。
インナーフォーカス internal focusing
ピント合わせのときに、レンズ全体ではなく中の軽いレンズ群だけを動かす方式です。動かす重さが小さいので、ピント合わせが速く静かになります。
非球面レンズ aspherical lens
表面が球面ではないレンズです。1 枚で球面収差や歪曲を大きく減らせるので、レンズを小さく軽く、写りをよくできます。
低分散ガラス low-dispersion glass
色によって曲がり方が違う性質(分散)が小さいガラスです。色収差を減らすために使われ、メーカーごとに ED・UD・SD などと呼ばれます。
収差 aberration
レンズが光を理想どおりに 1 点へ集めきれず、像が崩れることの総称です。にじみ、色の縁、直線の曲がりなどとして写ります。
球面収差 spherical aberration
縁を通った光ほど手前で集まってしまう収差です。開放で全体がふんわりにじみ、絞ると急速に消えます。
コマ収差 coma
画面の隅の点が、彗星のように中心から外向きに尾を引いて写る収差です。星空や夜景の点光源で目立ち、絞ると減ります。
像面湾曲 field curvature
ピントの合う面が平らでなく曲がっている収差です。中央に合わせると隅がぼけます。絞って被写界深度を深くすると目立たなくなります。
MTF modulation transfer function / MTF
レンズがどれだけコントラストを保って細部を写せるかを、画面の中心から隅までの位置ごとに示した指標です。線が上にあって平らなほど写りがよいレンズです。
コーティング lens coating
レンズの表面に施す反射防止の薄い膜です。何枚ものレンズの間で光が反射して起きるフレアやゴーストを抑えます。
レンズフード lens hood
レンズの先端に付ける筒で、画面の外から斜めに入る余計な光を遮ります。フレアとゴーストを防ぐいちばん簡単な道具です。
ティルトシフトレンズ tilt-shift lens / TS
光軸をずらしたり(シフト)傾けたり(ティルト)できるレンズです。建物の倒れを直したり、ピント面を傾けてミニチュアのような写真を撮ったりできます。
テレコンバーター teleconverter
レンズとボディの間に挟んで焦点距離を伸ばす部品です。開放 F 値も同じ倍率で大きくなり、1.4 倍で 1 段、2 倍で 2 段暗くなります。

03 センサーと画質

イメージセンサー image sensor
レンズが結んだ像を電気信号に変える素子です。このサイトでは 35mm フルサイズ(36×24mm)を基準にしています。
ISO 感度 ISO
センサーが受けた信号をどれだけ増幅するかの設定です。上げると暗所で撮れるようになりますが、同時にノイズも増幅されます。
ノイズ noise
暗部を中心に現れるざらつきです。ISO を上げたから発生するのではなく、届いた光が少ないほど目立ちます。
ダイナミックレンジ dynamic range
同じ 1 枚の中で明部と暗部をどこまで同時に記録できるかの幅です。これを超えた分が白飛び・黒つぶれになります。
センサーサイズ sensor size
センサーの受光面の物理的な寸法です。同じ構図・同じ F 値なら、大きいほど被写界深度は浅くなります。このサイトは 36×24mm のフルサイズを基準にしています。
フルサイズ full frame
35mm フィルム 1 コマと同じ 36×24mm のセンサーです。このサイトの画角と被写界深度は、すべてこれを基準にしています。
フォトダイオード photodiode
光の粒(光子)が当たると、その数に比例した電子を生んで貯める素子です。センサーの画素 1 つ 1 つの本体です。
画素 pixel
センサーを細かく区切った升目の 1 つで、届いた光の量を 1 つの数値として記録します。写真の最小の単位です。
裏面照射型センサー back-side illuminated sensor / BSI
読み出しの配線をフォトダイオードの下側に回し、光の通り道を空けたセンサーです。同じ大きさの画素でもより多くの光を受けられます。
ベイヤー配列 Bayer filter
センサーの画素の上に、赤 1・緑 2・青 1 の色フィルターを 2×2 のくり返しで並べる方式です。1 画素は 1 色ぶんの値だけを記録します。
デモザイク demosaicing
ベイヤー配列で 1 画素 1 色しか記録されていない値から、周りの画素を使って足りない 2 色を推定し、色のある画像を作る処理です。
偽色 false color
画素の間隔に近い細かい模様で、デモザイクの推定が外れて本来ない色が付く現象です。
モアレ moiré
細かい模様と画素の並びが干渉して、もとの被写体にないうねった縞が写る現象です。布地や建物の格子で出やすくなります。
ローパスフィルター optical low-pass filter / OLPF
センサーの前で像をわずかにぼかし、偽色やモアレを防ぐフィルターです。そのぶん解像は少し落ちるので、省いたカメラもあります。
AD 変換 analog-to-digital conversion / ADC
センサーに貯まった電子の量(電圧)を、決まった段階の整数に丸めて数値にする処理です。
ビット深度 bit depth
1 つの値を何段階で記録するかです。8 bit で 256 段階、14 bit で 16384 段階。深いほど、あとから明るさや色を大きく動かしても階調が崩れにくくなります。
トーンジャンプ banding / posterization
なめらかなはずのグラデーションが、段差のある縞になって写る現象です。少ない段階で記録した暗部を大きく持ち上げたときに出ます。
ショットノイズ photon shot noise
届く光の粒の数が毎回ばらつくことによるノイズです。ばらつきは粒の数の平方根なので、光が少ないほど割合が大きくなります。光そのものの性質で、避けられません。
読み出しノイズ read noise
センサーの回路が値を読み出すときに足すノイズです。光の量によらずほぼ一定なので、光がとても少ないときに目立ちます。
カラーノイズ chroma noise
色の付いた斑点として現れるノイズです。明るさのざらつき(輝度ノイズ)とは別に、現像で抑えられます。
ISO 不変性 ISO invariance
ISO を上げて撮っても、低い ISO で暗く撮って現像で持ち上げても、ノイズにほとんど差が出ないセンサーの性質です。ノイズを決めているのが届いた光の量だということを示しています。
画素数 megapixels / MP
センサーに並んでいる画素の数です。2400 万画素で横 6000 × 縦 4000 画素ほど。大きく印刷するときや、大きくトリミングするときに効いてきます。
画素ピッチ pixel pitch
1 画素の大きさ(画素の中心どうしの間隔)です。同じ大きさのセンサーで画素数を増やすほど小さくなり、1 画素が受ける光は減ります。

04 ピントとオートフォーカス

オートフォーカス autofocus / AF
カメラが自動でピントを合わせる機構です。どこに合わせるか(エリア)と、いつ合わせ続けるか(モード)の 2 つを撮影者が指定します。
AF-S / AF-C single / continuous AF
AF-S は一度合ったらそこで固定し、AF-C は合わせ続けます。止まっている被写体か、動く被写体かで選びます。
位相差 AF phase detection AF
ずれの量と向きを一度に検出し、どちらへどれだけ動かすかを直接求める方式です。速いのですが、一眼レフでは専用ユニットが要ります。
コントラスト AF contrast detection AF
ピント位置を動かしながら、最もコントラストが立つ点を探す方式です。精度は高いのですが、探索のぶん遅くなります。
像面位相差 AF on-sensor phase detection
センサー自体の画素に位相差検出を組み込んだ方式です。一眼レフの独立ユニットが担っていた仕事を、センサー上へ移したものです。
瞳 AF eye AF
被写体の瞳を検出して、そこにピントを合わせ続ける機能です。浅い被写界深度の人物撮影で、使えるカットの数を大きく増やしてくれます。
マニュアルフォーカス manual focus / MF
撮影者がピントリングで合わせる方式です。AF が迷う被写体や、ピント位置そのものを構図として決めたいときに使います。
測距点 focus point
画面内でピントを合わせる位置です。ここをどこに置くかは構図の決定そのもので、カメラ任せにすると意図が消えてしまいます。
ピント面 plane of focus
ピントが合っている、センサーと平行な面です。被写界深度は、この面の前後にどれだけ余裕があるかの話になります。
前ピン・後ピン front / back focus
狙った位置より手前(前ピン)または奥(後ピン)にピント面が来てしまうことです。被写界深度が浅いほど露見します。
フォーカスピーキング focus peaking
ピントが合っている輪郭に色を重ねて表示する補助機能です。MF でどこに合っているかを目視で確かめられます。
ピントの迷い focus hunting
オートフォーカスが合焦位置を見つけられず、レンズが行ったり来たりを繰り返す状態です。暗い場所や模様の少ない被写体で起きやすくなります。
AF 補助光 AF assist light
暗い場所でオートフォーカスの手がかりを作るため、カメラやストロボが被写体に当てる光です。
フォーカス優先・レリーズ優先 focus priority / release priority
ピントが合うまでシャッターを切らせないのがフォーカス優先、合っていなくても切れるのがレリーズ優先です。確実さを取るか、瞬間を取るかの設定です。
AF エリアモード AF area mode
画面のどこでピントを測るかの設定です。1 点を自分で選ぶ、範囲を選ぶ、全体からカメラにまかせる、被写体を追いかける、などがあります。
被写体検出 subject detection
画面の中から人の顔や瞳、動物、乗り物などを見つけ、そこにピントを合わせ続ける機能です。
フォーカスロック focus and recompose
半押しでピントを合わせて固定し、そのまま構図を変えて撮る方法です。被写界深度が浅いと、カメラを振ったぶんピントが外れます。
親指 AF back-button focus
ピント合わせをシャッターボタンから外し、背面の AF-ON ボタンに分ける操作方法です。押している間だけピントを合わせ、離すと固定されます。
置きピン pre-focus / zone focus
被写体が来る場所に前もってピントを合わせて固定し、来た瞬間に撮る方法です。AF が追いつかない速い被写体で使います。
フォーカスブラケット focus bracketing
ピント位置を少しずつずらしながら、連続して何枚も撮る機能です。深度合成の素材を撮るのに使います。
深度合成 focus stacking
ピント位置の違う何枚もの写真から、くっきりした部分だけを合成して、手前から奥まで全部にピントの合った 1 枚を作る手法です。

05 露出と段

露出 exposure
センサーに当てる光の総量です。絞り・シャッター速度・ISO 感度の 3 つで決まり、画面全体の明るさを支配します。
段 stop
光量が 2 倍または 1/2 になる幅を 1 とする共通単位です。絞り・シャッター速度・ISO を同じものさしで比べられるようになります。
露出値 exposure value / EV
絞りとシャッター速度の組み合わせが作る露出量を 1 つの数値で表したものです。同じ EV なら明るさは同じになります。
相反則 reciprocity
絞りを 1 段開けたらシャッター速度を 1 段速める、のように片方を動かしたぶん他方を戻せば露出が保たれる関係です。何を犠牲にするかを選ぶのが、撮影設定の本体になります。
撮影モード P / A (Av) / S (Tv) / M
カメラに何を任せ、何を自分で決めるかの選択です。A は絞り優先、S はシャッター優先、M は両方を自分で決めます。表記は、Canon と PENTAX が Av / Tv、多くのメーカーが A / S です。
晴天 16 の法則 sunny 16 rule
晴れた日の日なたでは、f/16 でシャッター速度を「1/ISO 感度」秒にすれば適正露出になる、という経験則です。
プログラムシフト program shift
P モードで、明るさを保ったまま絞りとシャッター速度の組み合わせをダイヤルでずらす機能です。
オート ISO auto ISO
ISO 感度をカメラにまかせる設定です。M モードと組み合わせると、絞りとシャッター速度を自分で決め、明るさの帳尻を ISO で合わせられます。

06 絞りと被写界深度

絞り aperture
レンズ内で光の通る穴の大きさを変える機構です。露出と被写界深度の両方を同時に動かします。
F 値 f-number
焦点距離を開口の直径で割った値です。小さいほど穴が大きく、光が多く入り、被写界深度が浅くなります。
被写界深度 depth of field / DOF
ピントが合っているように見える前後の範囲です。F 値・焦点距離・被写体距離・センサーサイズの 4 つで決まります。
浅い被写界深度 shallow depth of field
ピントの合う範囲が薄く、前後が大きくぼける状態です。逆に範囲が広いものは、深い被写界深度(deep depth of field)と呼びます。
ボケ bokeh
ピントの外れた部分の写り方です。量だけでなく、玉ボケの形や輪郭の出方といった質も指します。
被写体分離 subject separation
主被写体が背景から浮き上がって見えることです。ボケ・明暗差・色差のいずれでも作れます。
口径食 cat’s eye effect
画面周辺の玉ボケがレモン形に欠ける現象です。鏡筒が斜めから入る光を遮ることで起きます。絞ると円に近づきます。
絞り羽根 diaphragm blades
開口を作る薄い羽根です。枚数と形が、玉ボケの多角形と光条の本数を決めます。
光条 sunstar
点光源を絞り込むと放射状の筋になる現象です。羽根が偶数枚なら枚数と同じ本数、奇数枚ならその 2 倍の本数が出ます。
錯乱円 circle of confusion
点が点として写らずに広がった円のうち、鑑賞距離では点と見なせる大きさの上限です。被写界深度の計算は、この基準に依っています。
過焦点距離 hyperfocal distance
そこにピントを合わせると、その半分の距離から無限遠までが被写界深度に入る距離です。風景で手前から奥まで写したいときの指標になります。
パンフォーカス deep focus
手前から奥までピントが合っているように見える状態です。絞り込み・広角・被写体距離を稼ぐことの合わせ技で作ります。
開放 wide open
絞りをいちばん大きく開けた状態です。そのときの F 値を開放 F 値と呼びます。光量は最大になりますが、周辺減光・口径食・収差も最も出やすくなります。
前ボケ foreground bokeh
被写体の手前に置いたものが溶けたボケです。ピント面より手前も深度の外なので同じようにぼけ、画面に前後のレイヤーができます。
二線ボケ nisen bokeh (double-line bokeh)
ボケの輪郭が二重の線のように見えるボケです。球面収差の残り方でボケの縁が硬く明るくなると起き、背景の枝や電線のような細い線が二重に見えて、うるさい印象になります。
回折 diffraction
開口が小さいほど光が縁で回り込み、点が点として結ばれなくなる現象です。絞り込むほど解像が落ちるのは、これによるものです。
T 値 T-stop
レンズを実際に通る光の量で測った明るさの値です。F 値は穴の大きさからの計算値なので、ガラスで失われる光の分だけ T 値のほうが大きく(暗く)なります。映画用のレンズで使われます。
等価換算 equivalence
センサーの大きさが違うカメラで同じ写りになる設定を求める考え方です。焦点距離と F 値の両方にクロップファクターを掛けると、画角とボケの大きさがそろいます。
エアリーディスク Airy disk
回折によって、点が点に結ばれずに広がった光の円です。直径は F 値に比例し、f/16 では約 0.02mm になります。

07 シャッターと時間

電子シャッター electronic shutter
幕を使わず、画素のリセットと読み出しのタイミングだけで露光時間を決める方式です。無音・無振動ですが、読み出しに時間差があるとローリングシャッター歪みが出ます。
ローリングシャッター歪み rolling shutter distortion
センサーを上から順に読み出すため、読み出し中に動いた被写体が斜めに歪む現象です。電子シャッターで速く動くものを撮ると出てきます。
シャッター速度 shutter speed
センサーに光を当てている時間です。長いほど明るくなり、同時に動いたものが軌跡として写ります。
被写体ブレ motion blur
露光中に被写体が動いたことで生じる流れです。カメラを固定していても、被写体が動けば出ます。
手ブレ camera shake
露光中にカメラ自体が動いたことで画面全体が流れる現象です。被写体ブレと違い、止まっているものまで一緒に流れるので切り分けられます。
手ブレ補正 image stabilization / IS / VR / IBIS
レンズまたはセンサーを動かして手ブレを打ち消す機構です。手ブレには効きますが、被写体ブレには効きません。
パンニング panning
動く被写体をカメラで追いながら遅いシャッターを切る技法です。被写体は止まり、背景だけが流れます。
長秒露光 long exposure
数秒以上の露光です。水や雲や光跡が連続した面や線になり、肉眼では見えない時間の蓄積が写ります。
ND フィルター neutral density filter / ND
色を変えずに光量だけを一律に落とすフィルターです。明るい場所でも露光時間を伸ばせるようになるので、日中の長秒露光に要ります。
バルブ撮影 bulb mode / B
シャッターボタンを押している間だけ露光を続けるモードです。カメラの設定値の上限(多くは 30s)を超える露光は、これで作ります。
ズームブラー zoom burst
露光中にズームリングを回して、像を放射状に引き伸ばす技法です。被写体ではなく画角のほうが動いているので、画面全体が中心から外へ流れます。
高速度撮影 high-speed photography
肉眼で追えない一瞬を止める撮影です。止めているのはシャッターではなく、それより短いストロボの閃光時間であることが多いです。
フォーカルプレーンシャッター focal-plane shutter
センサーの直前にある 2 枚の幕で露光時間を決めるシャッターです。先幕が走って露光が始まり、後幕が追いかけて終わります。
グローバルシャッター global shutter
全画素を同時に露光し、同時に読み出すセンサーの方式です。ローリングシャッター歪みが起きません。
フリッカー flicker
蛍光灯や LED 照明の明滅によって、写真の明るさや色がばらついたり、電子シャッターで横縞が出たりする現象です。
シャッターショック shutter shock
シャッター幕が動くときの振動で、写真がわずかにぶれる現象です。電子先幕シャッターや電子シャッターで防げます。
電子先幕シャッター electronic front-curtain shutter / EFCS
露光の始まり(先幕)を画素のリセットで電子的に行い、終わり(後幕)だけ機械の幕を使う方式です。先幕が走る振動がなくなるので、シャッターショックによるわずかなブレを防げます。
焦点距離分の 1 秒 reciprocal rule
手持ちで手ブレしにくいシャッター速度の目安です。50mm なら 1/50 秒、200mm なら 1/200 秒。高画素のカメラではさらに 1 段速いほうが安全です。
ボディ内手ブレ補正 in-body image stabilization / IBIS
センサーそのものを動かしてカメラの揺れを打ち消す仕組みです。どのレンズを付けても効きます。
500 ルール 500 rule
星を点で写せる露光時間の目安で、フルサイズでは「500 ÷ 焦点距離」秒です。高画素のカメラではその半分程度を目安にします。
比較明合成 lighten composite
何枚もの写真を重ね、画素ごとにいちばん明るい値だけを残す合成です。星の軌跡や花火、光跡を 1 枚にまとめるのに使います。
長秒時ノイズ低減 long exposure noise reduction
長秒露光のあと、シャッターを閉じたまま同じ時間だけもう 1 枚撮り、熱で出た明るい点を差し引いて消す機能です。
ホットピクセル hot pixel
長い露光でセンサーが熱を持ち、光が来ていない画素にも電子が溜まって、明るい点として写ったものです。長秒時ノイズ低減は、この点だけを写した 1 枚を差し引いて消します。

08 測光とヒストグラム

測光 metering
カメラが画面のどこを見て明るさを決めるかの仕組みです。評価測光・中央重点・スポットなどのモードがあります。
中間グレー middle gray
カメラが測光の基準にする明るさです。反射率 18% の灰色とよく説明されますが、露出計の校正は厳密には 12〜13% 前後です。白い被写体も黒い被写体もここへ寄せようとするため、そのままだと白は暗く、黒は明るく写ります。
反射光式 reflected-light metering
被写体が跳ね返してきた光を測る露出計の方式です。カメラに入っている露出計はすべてこれで、被写体が白いのか光が強いのかを見分けられないため、中間グレーを前提に露出を出します。
入射光式 incident-light metering
被写体の位置で、被写体に当たっている光を測る露出計の方式です。被写体の色や反射率が値に入らないので、白いものは白く、黒いものは黒く写る露出が出ます。単体の露出計の多くがこの方式です。
露出補正 exposure compensation
カメラが決めた露出に対して「何段明るく/暗く」を指定する操作です。撮影者が明るさを意図として与える手段になります。
露出オーバー overexposed
光が多すぎて全体が明るく写り、明部の階調が失われた状態です。
露出アンダー underexposed
光が足りず全体が暗く写り、暗部がつぶれてノイズが目立つ状態です。
ハイキー high key
全体を明るく、影を薄くまとめた絵づくりです。白飛びさせるという意味ではなく、明るい側に階調を寄せることを指します。
ローキー low key
全体を暗く、明部を絞ってまとめた絵づくりです。光の当たっている部分だけが浮かび上がります。
白飛び blown highlights
明部が記録できる上限を超え、真っ白になって階調が戻らなくなった状態です。現像でも復元できません。
クリッピング clipping
明部または暗部が記録範囲の外に出て、一定値に張り付くことです。白飛びと黒つぶれの総称になります。
評価測光 evaluative / matrix metering
画面を多くの区画に分けて測り、明暗の分布や色、ピントの位置からカメラが総合的に露出を判断する測光モードです。メーカーによってマルチパターン測光などとも呼ばれます。
スポット測光 spot metering
画面のごく狭い範囲(数%)だけを測る測光モードです。明暗差の大きい場面で、ある 1 か所の明るさを確実に合わせたいときに使います。
AE ロック auto exposure lock / AE-L
測光で決まった露出を固定する操作です。明るさを合わせたい場所で固定してから、構図を変えて撮れます。
ヒストグラム histogram
写真の画素を明るさごとに数えたグラフです。左端が黒、右端が白。端に張り付いた山があれば、黒つぶれや白飛びしています。
ハイライト警告 highlight alert
撮った写真の白飛びした部分を、再生画面で点滅させて知らせる機能です。ヒストグラムより「どこが」飛んでいるかが分かります。
ゼブラ表示 zebra pattern
ライブビューや動画撮影で、白飛びしそうな明るさの部分に縞模様を重ねて知らせる表示です。撮る前に、どこが飛びそうかを画面の上で確かめられます。
ETTR(右寄せ) expose to the right / ETTR
白飛びしない範囲でできるだけ明るく撮り、現像で暗くする方法です。センサーに届く光が増えるので、暗部のノイズが減ります。
露出ブラケット exposure bracketing
明るさを段数ずつ変えて、何枚かを続けて撮る機能です。あとから選んだり、HDR 合成の素材にしたりします。
HDR high dynamic range / HDR
明るさを変えて撮った何枚かを合成し、1 枚では写しきれない明暗差を収める手法です。強くかけると絵画のような質感になります。
グラデーション ND フィルター graduated ND filter / GND
上半分だけが暗く、境目から徐々に透明になる ND フィルターです。明るい空の光だけを減らせるので、空と地上の明るさの差を 1 枚で縮められます。地平線が直線でない場面では、山や建物に境目がかかって目立ちます。

09 焦点距離と遠近感

画角 angle of view
写る範囲を角度で表したものです。焦点距離が長いほど狭くなります。何が入り、何が切れるかを決めます。
クロップファクター crop factor
フルサイズより小さいセンサーで画角がどれだけ狭くなるかの倍率です。APS-C なら約 1.5 倍、マイクロフォーサーズなら 2 倍になります。
35mm 換算 equivalent focal length
実焦点距離にクロップファクターを掛けて、フルサイズなら何 mm 相当かに直した値です。機材をまたいで画角を比べるための共通語になります。
広角 wide-angle
フルサイズでおおむね 35mm 以下の焦点距離です。広く写るぶん被写体に寄る必要があり、その結果として遠近が誇張されます。
望遠 telephoto
フルサイズでおおむね 85mm 以上の焦点距離です。このうち 85〜135mm を中望遠、それより長いもの(おおむね 200mm 以上)を望遠と分けて呼ぶこともあります。狭く写るぶん被写体から離れる必要があり、その結果として遠近が圧縮されます。
圧縮効果 compression
奥行きが詰まって見える現象です。望遠レンズの性質ではなく、被写体から離れたことの産物です。同じ位置から撮れば、焦点距離を変えても前後の関係は変わりません。
遠近の誇張 perspective distortion
近いものが極端に大きく写る現象です。広角レンズの性質ではなく、被写体に近づいたことの産物です。
単焦点 prime lens
焦点距離が固定のレンズです。画角を変えられないぶん立ち位置で構図を決めることになり、明るく作りやすいという利点があります。
ズーム zoom lens
焦点距離を変えられるレンズです。立ち位置を変えずに画角だけ動かせますが、同じ位置のままでは遠近の関係は変わりません。
大口径レンズ fast lens
開放 F 値が小さいレンズです。暗所で速いシャッターを使え、浅い被写界深度も得やすくなります。
超広角 ultra-wide-angle
フルサイズでおおむね 20mm 以下の焦点距離です。広角の性質がさらに強く出るため、寄って撮ると近いものが極端に大きく写ります。
環境ポートレート environmental portrait
人物とその人がいる場所を同時に写すポートレートです。広角で寄ることで、人物の大きさを保ったまま背景の情報を残せます。
魚眼 fisheye
歪曲を補正せずに設計として残した超広角レンズです。直線が弧として写る代わりに、対角線で 180° に達する画角が得られます。
パースの倒れ(台形の歪み) keystone distortion / converging verticals
カメラを上や下に向けて撮ったとき、建物の縦の線が平行でなくなり、すぼまって倒れて見える現象です。カメラを水平に保つか、シフトレンズや現像の台形補正で直します。

10 自然光

硬い光 hard light
影の境界がはっきり出る光です。光源の見かけのサイズが被写体に対して小さいほど硬くなります。晴天の太陽や裸の電球がこれにあたります。
柔らかい光 soft light
影の境界がなだらかに落ちる光です。光源の見かけのサイズが大きいほど柔らかくなります。曇天やディフューザー越しの光がこれにあたります。
本影 umbra
光源のどの部分からも光が届かない、影のいちばん濃い部分です。光源が見かけ上大きくなるほど狭くなり、やがて消えます。
半影 penumbra
光源の一部からだけ光が届く、影の縁の帯です。光源の見かけの大きさが大きいほど幅が広がり、影の縁がなだらかになります。
リムライト rim light
被写体の輪郭に沿って走る光です。背後から当てることで生まれ、背景から被写体を切り離します。
順光 front light
カメラ側から被写体に当たる光です。色は出ますが、影が背後に隠れるため立体感は乏しくなります。
サイド光 side light
横から当たる光です。陰影がはっきり出て、凹凸と質感が強調されます。
斜光 three-quarter light
斜め前から当たる光です。順光とサイド光の間で、影が被写体の横に適度に落ちるので、色と立体感の両方が出ます。
逆光 backlight
被写体の背後から当たる光です。輪郭が光り、そのままでは被写体自体は暗く落ちます。
半逆光 three-quarter backlight
斜め後ろから当たる光です。輪郭が光りながら、カメラに向いた面にも光が少し回るので、面の情報が残り、柔らかく透明感のある写りになります。料理や花、人物でよく使います。
トップ光 top light
真上から当たる光です。目元や鼻の下に濃い影が落ちるため、人物では扱いが難しくなります。
シルエット silhouette
背景の明るさに露出を合わせ、被写体を輪郭だけの黒として見せる絵づくりです。
キャッチライト catchlight
瞳に映り込んだ光源です。あるかないかで人物の生気が変わります。形は光源の形がそのまま出ます。
ゴールデンアワー golden hour
日の出直後と日没直前の時間帯です。光が低く長く、色温度が低いため暖色に転びます。
ブルーアワー blue hour
日没後・日の出前の、空だけが明るい時間帯です。色温度が高く、全体が青に転びます。
逆二乗則 inverse square law
光源からの距離が 2 倍になると明るさが 1/4 になる関係です。光源を近づけるほど、被写体と背景の明暗差が急になります。
レフ板 reflector
光を反射させて、影の側に光を足す板です。白は柔らかく、銀は強く、金は暖かい光を返します。
ディフューザー diffuser
光源と被写体の間に入れて光を散らす半透明の布や板です。硬い光を、見かけの大きな柔らかい光に変えます。

11 ストロボと人工光

後幕シンクロ rear-curtain sync
露光の終わり際にストロボを発光させる設定です。軌跡が先に記録され被写体が最後に焼き付くので、流れが進行方向の後ろへ伸びます。
スローシンクロ slow sync flash
ストロボを焚きながらシャッターを遅くする撮り方です。ストロボが被写体の明るさを、遅いシャッターが背景の明るさを、それぞれ別に受け持ちます。
キーライト key light
被写体の形を決める主光源です。影の向きと硬さは、これが支配します。
フィルライト fill light
キーライトが作った影を起こすための補助光です。明暗差をどこまで残すかを決めます。
ヘアライト hair light
後ろや上から髪だけを照らす光です。髪の輪郭が光るので、暗い背景に髪が溶け込まず、頭の形がはっきり出ます。
シンクロ速度 flash sync speed / X-sync
シャッター幕が画面全体を一度に開く最も速いシャッター速度です。多くのカメラで 1/200〜1/250 秒。ストロボはこれより速いシャッター速度では普通には使えません。
ハイスピードシンクロ high-speed sync / HSS
シャッターが開いている間、ストロボを高速で連続発光させて、シンクロ速度より速いシャッター速度でもストロボを使えるようにする機能です。そのぶん光は弱くなります。
定常光 continuous light
LED ライトのように、点けている間ずっと光り続ける照明です。撮る前に光の当たり方を目で確かめられます。
ストロボ flash / strobe
数千分の 1 秒だけ一瞬強く光る照明です。小さくても強い光を出せ、動いているものも止めて写せます。
ガイドナンバー guide number / GN
ストロボの明るさを表す数で、ISO 100 のときの「被写体までの距離(m)× 適正な F 値」です。GN 40 なら 5m 先で f/8 になります。
TTL 調光 through-the-lens flash metering / TTL
撮影の直前に弱く予備発光し、レンズを通った反射光を測って、ストロボの強さを自動で決める仕組みです。
調光補正 flash exposure compensation
TTL で決まったストロボの強さを、段数で足し引きする指示です。露出補正のストロボ版です。
赤目 red-eye
カメラのすぐ近くから光ったストロボの光が、瞳の奥の網膜で反射して目が赤く写る現象です。ストロボをレンズから離すと防げます。
バウンス bounce flash
ストロボを天井や壁に向けて光らせ、跳ね返った光で照らす方法です。天井や壁が大きな面光源になり、光が柔らかくなります。
オフカメラ off-camera flash
ストロボをカメラから離して、無線などで光らせる使い方です。光の方向を自由に決められます。
モディファイア light modifier
ストロボや照明の前に付けて、光の大きさや広がり方を変える道具の総称です。ソフトボックス、アンブレラ、グリッドなどがあります。
ソフトボックス softbox
光源を布の箱で覆い、前面の拡散布全体を大きな面光源にするモディファイアです。柔らかく、向きを制御しやすい光になります。
アンブレラ umbrella
傘の形をしたモディファイアです。傘に反射させるか、透過させて、大きく柔らかい光を広く散らします。
ビューティーディッシュ beauty dish
浅い皿の形をした中くらいの大きさのモディファイアです。中心がややくっきり、縁は柔らかく、肌に張りのある光になります。
グリッド grid / honeycomb
光源の前に付ける蜂の巣状の格子で、光の広がりを絞り、狙った範囲だけを照らします。
ライティング比 lighting ratio
キーライトの当たった側と、影の側(フィル)の明るさの比です。2:1 で 1 段、4:1 で 2 段、8:1 で 3 段の差になります。
バタフライライティング butterfly lighting
キーライトをカメラの真上から当て、鼻の真下に蝶の形の影を作るライティングです。端正で華やかな印象になります。
ループライティング loop lighting
キーライトを 30° ほど横へずらし、鼻の影を頬の方へ小さく落とすライティングです。もっとも汎用的なパターンです。
レンブラントライティング Rembrandt lighting
キーライトを 45° ほど横・高めに置き、影の側の頬に小さな三角形の光を残すライティングです。陰影の深い重厚な印象になります。
スプリットライティング split lighting
キーライトを真横から当て、顔の半分を明るく、半分を影にするライティングです。強く緊張感のある印象になります。
ブロードライティング broad lighting
斜めを向いた顔の、カメラから見て広く見える側(手前の頬)にキーライトを当てるライティングです。光の当たる面が広くなるので、顔が広く明るく見えます。
ショートライティング short lighting
斜めを向いた顔の、カメラから見て狭く見える側(奥の頬)にキーライトを当てるライティングです。手前の頬が影になるので、顔が細く立体的に見えます。
カラーフィルター(ジェル) gel
照明の前に付ける色付きの薄いフィルムです。ストロボの色を部屋の照明に合わせたり、色の付いた光で演出したりします。
演色性 color rendering index / CRI / Ra
照明の下で物の色がどれだけ自然に見えるかを示す指標です。100 に近いほど太陽光に近く、撮影には 95 以上が目安です。

12 色

色温度 color temperature
光の色みをケルビンで表した値です。低いほど赤く、高いほど青くなります。補正すべき誤差ではなく、選べる演出の変数として扱います。
ホワイトバランス white balance / WB
画面の中で何を白とみなすかの指定です。基準をずらせば、画面全体の色みを意図的に転ばせられます。
ティント tint
色温度と直交するもう 1 本の色の軸で、緑とマゼンタの間を動かします。蛍光灯下の緑かぶりは、ここで戻します。
彩度 saturation
色の鮮やかさです。上げるとすべての色が一律に濃くなるため、もともと濃い部分が破綻しやすくなります。
自然な彩度 vibrance
彩度の低い色を優先して持ち上げる調整です。すでに濃い色と肌色を守るので、彩度より破綻しにくくなります。
色かぶり color cast
画面全体が特定の色に偏った状態です。光源の色や周囲からの反射で起きます。演出として残すこともあります。
ピクチャーコントロール picture profile
カメラ内で JPEG に適用される色とコントラストの既定値です。メーカーによって、フィルムシミュレーションなどとも呼ばれます。
グレーカード gray card
反射率 18% の灰色の板です。その場の光の下で写し、ホワイトバランスや露出の基準にします。
色空間 color space
赤・緑・青の数値が、実際にどの色を指すかの決めごとです。sRGB・Adobe RGB・Display P3 などがあります。
色域 color gamut
ある色空間や機器で表せる色の範囲です。色域の外の色は、いちばん近い表せる色に置き換えられます。
カラーマネジメント color management
カメラ・画面・印刷のあいだで色がずれないように、機器ごとの色の特性をそろえて扱う仕組みです。画面のキャリブレーションがその第一歩です。

13 RAW 現像とレタッチ

カラーグレーディング color grading
明部・中間・暗部それぞれに別の色を乗せて、画面全体の色設計を作る作業です。色の組み合わせで、写真全体の雰囲気が大きく変わります。
スプリットトーン split toning
暗い部分と明るい部分に、それぞれ別の色を付ける手法です。暗部を青緑、明部をオレンジに寄せる「ティール・アンド・オレンジ」のように反対色どうしにすると、人物が背景から浮かび上がります。
RAW RAW
センサーが受けた信号をほぼ加工せずに記録した形式です。ホワイトバランスや階調を後から損失なく決め直せます。JPEG は、その決定を撮影時に焼き込んだものです。
RAW 現像 raw processing
センサーの値をそのまま記録した RAW ファイルから、ホワイトバランスや明るさ、色を決めて写真に仕上げる工程です。
JPEG JPEG
カメラや現像ソフトが、ホワイトバランスや階調・色を決めて焼き込んだ 8 bit の写真の形式です。どこでも開けますが、あとから大きく調整すると劣化します。
非破壊編集 non-destructive editing
元のファイルを書き換えず、調整の内容だけを記録しておく編集のしかたです。何度でもやり直せます。
トーンカーブ tone curve
元の明るさと調整後の明るさの対応を描いた線です。S 字に曲げるとコントラストが強く、左下を持ち上げると黒が浮いた柔らかい印象になります。
明瞭度 clarity
中間の明るさの、少し広い範囲の明暗差を強める調整です。輪郭がはっきりし、硬く力強い印象になります。
かすみの除去 dehaze
空気中のもやで薄まったコントラストと色を取り戻す調整です。逆に下げると、霧がかかったような雰囲気になります。
HSL hue / saturation / luminance / HSL
色ごとに、色相・彩度・輝度を別々に調整するパネルです。空の青だけを深くする、肌のオレンジだけを明るくする、といった調整ができます。
シャープネス sharpening
輪郭の明暗差をわずかに強めて、くっきり見せる処理です。ピンボケを直すものではなく、かけすぎると輪郭に白い縁が出ます。
ノイズ除去 noise reduction
ノイズを目立たなくする処理です。輝度ノイズとカラーノイズを別々に調整でき、強すぎると質感まで塗りつぶされます。
レンズプロファイル lens profile
レンズごとの歪曲収差・周辺減光・色収差を記録したデータです。現像ソフトで有効にすると、レンズの癖が自動で打ち消されます。
部分補正 local adjustment / masking
写真の一部だけを選んで、明るさや色を調整する機能です。ブラシ、グラデーション、空や人物の自動選択などで範囲を決めます。
覆い焼き dodging
写真の一部だけを明るくする補正です。暗室で印画紙の一部を覆って光を減らしたことが名前の由来で、今は部分補正で行います。人の目は明るいところへ引き寄せられるので、主役を明るくすると視線が集まります。
焼き込み burning
写真の一部だけを暗くする補正です。暗室で一部にだけ余分に光を当てて暗くしたことが名前の由来で、今は部分補正で行います。目立たせたくない周辺を暗くすると、視線が主役へ向かいます。
プリセット preset
現像の調整の組み合わせを保存したものです。ほかの写真にも同じ調整をかけて、色と明るさをそろえられます。

14 構図

構図 composition
画面の中に何をどこへ置くかの設計です。画角と立ち位置とカメラの高さを決めた時点で、ほぼ確定します。
三分割法 rule of thirds
画面を縦横 3 分割し、その線と交点に主要素を置く定石です。中央配置より視線に動きが出ます。
リーディングライン leading lines
画面内の線が視線を主被写体へ導く配置です。道・柵・影・建築のエッジなどが使えます。
余白 negative space
主被写体以外の、意図的に何も置かない領域です。被写体を際立たせ、視線の逃げ場を作ります。
対称 symmetry
中心軸の左右または上下を釣り合わせる配置です。静止感と人工物らしさが出ます。
フレーミング framing
画面の枠をどこで切るかの判断です。手前の要素で被写体を囲む構図技法そのものも指します。
アスペクト比 aspect ratio
画面の縦横比です。3:2 は標準的、4:5 は人物が収まりやすく、16:9 は横の広がりが出ます。比が変われば、同じ被写体でも構図が変わります。
黄金比 golden ratio
約 1:1.618 の比です。画面をこの比で分ける線は、三分割の線より少し中央寄りに来ます。

15 アングルとショットサイズ

アイレベル eye level
被写体の目の高さにカメラを置くことです。関係が対等に見え、誇張のない標準的な見え方になります。
ハイアングル high angle
被写体より高い位置から見下ろす配置です。被写体が小さく、状況が広く見えます。
ローアングル low angle
被写体より低い位置から見上げる配置です。被写体が大きく、迫り出して見えます。
ショットサイズ shot size
被写体をどのくらいの大きさで切り取るかの呼び名です。ロング・フル・ミディアム・バスト・クローズアップなどがあり、寄るほど感情、引くほど状況を伝えます。

16 ポートレート

日中シンクロ fill flash
明るい屋外で、ストロボを弱めに光らせて、逆光や日陰で暗くなった顔を起こす撮り方です。背景の空は自然光で露出を決め、顔にだけストロボの光を足すので、空を飛ばさずに人物を写せます。

17 風景

PL フィルター circular polarizing filter / CPL
特定の向きに振動する光だけを通すフィルターです。青空を深くし、水面やガラス、葉の表面の反射を消します。

18 夜景と星

星の軌跡 star trails
地球の自転で動く星を、長い時間露光して線として写したものです。北の空では北極星を中心にした同心円になります。
光跡 light trails
車のライトのように動く光を、長い露光で光の線として写したものです。露光の間に光が動いた道筋がそのまま線になるので、シャッター速度を長くするほど線も長くなります。
スタッキング image stacking
同じ構図で撮った何枚もの写真を重ねて平均し、ノイズを減らす合成です。ショットノイズは枚数の平方根分の 1 になるので、4 枚で半分、16 枚で 4 分の 1 まで目立たなくなります。ピントの違う写真を重ねる深度合成とは別のものです。

19 物撮りと料理

白バック white background
背景を真っ白に飛ばして撮る商品写真の撮り方です。背景を被写体と別の光で 1 段ほど明るく照らすと、背景だけが飛び、商品は適正な露出のまま残ります。