動くものの撮影では、7 章のシャッター速度と、4 章のオートフォーカスが主役になります。止めるか流すかを決め、ピントを追い続けさせ、残りの明るさの帳尻を ISO で合わせる、という順番で組み立てます。
設定を決める順番#
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止めるか、流すかを決める 07 シャッターと時間
動きを凍らせるなら速いシャッター。スピード感を出すなら、パンニングで背景を流す。
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シャッター速度を決める 07 シャッターと時間
止めるなら下の表を目安に。迷ったら
1/1000sから。 -
絞りを決める 06 絞りと被写界深度
背景をぼかして主役を浮かせるなら開放付近。望遠なら
f/2.8〜f/5.6でも十分ぼける。 -
ISO はオートにする 05 露出と段
M モードでシャッター速度と絞りを固定し、ISO で明るさを合わせる。ノイズより、ブレのほうが写真を壊す。
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AF を追い続ける設定にする 04 ピントとオートフォーカス
AF-C、ゾーンかトラッキング、被写体検出(人・動物・乗り物)。親指 AF にすると、追い続けと固定を切り替えやすい。
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連写で撮る 07 シャッターと時間
高速連写で、動きの頂点の前後をまとめて撮る。電子シャッターはローリング歪みに注意。
止めるのに必要なシャッター速度#
| 被写体 | 止めるシャッター速度の目安 |
|---|---|
| 歩く人 | 1/250s |
| 走る子ども、ペット | 1/500s〜1/1000s |
| サッカー・バスケットボールなどのスポーツ | 1/1000s〜1/2000s |
| 飛ぶ鳥(羽ばたきまで止める) | 1/2000s〜1/4000s |
| 走る車、電車(横から) | 1/1000s〜1/2000s |
| 水しぶき、はねる水滴 | 1/2000s より速く |
7 章で見たとおり、必要な速さは、被写体の速さそのものより、画面の上でどれだけ動くかで決まります。望遠で大きく写すとき、被写体が画面を横切るときは、表より速めにします。正面から近づいてくる被写体は、画面上の動きが小さいので、少し遅くても止まります。
M モードとオート ISO#
動きものでは、5 章で紹介した「M モード + オート ISO」の組み合わせがよく使われます。
- シャッター速度 — 動きを止めるのに必要な値に固定する
- 絞り — 背景のぼけ具合(または深度)を決めて固定する
- ISO — 明るさが変わっても、カメラが ISO で帳尻を合わせてくれる
雲が出たり、日なたから日陰に被写体が走り込んだりしても、シャッター速度と絞りは変わりません。光の変化を ISO だけが吸収するので、「暗くなったのでシャッターが遅くなってぶれた」という失敗が起きません。露出補正(8 章)は、オート ISO の目標の明るさを変えるものとして効きます。
ピントを追い続ける#
AF-C は、半押し(または親指 AF のボタン)を押している間、ピントを合わせ続けます(4 章)。動くものの撮影では必須です。
- エリアモード — 被写体が画面のどこに来るか予測しにくいなら、ゾーンかトラッキング。被写体検出(人・瞳・動物・鳥・乗り物)があれば有効にします
- 親指 AF — 追い続けたいときは親指で押し続け、離すとピントが固定されます。ゴール前で待ち構える、という使い方と、走り回る被写体を追い続ける使い方を、モードを変えずに切り替えられます
- 置きピン — 被写体が来る場所が決まっている(ゴールライン、ジャンプ台、鳥がとまる枝)なら、そこにピントを固定して待ちます。AF の追いかけが間に合わない速い被写体に効きます
予測して、前から追う#
被写体が画面に入ってから追いかけ始めると、AF が合う前に動きの頂点が過ぎてしまいます。来る方向を予測して、少し前から被写体をとらえて追い始め、AF が安定してからシャッターを切ります。
連写#
高速連写で、動きの前後を何枚も撮ります。ボールを打つ瞬間、ジャンプの頂点、鳥の羽ばたきの形は、ほんのわずかな時間の差で大きく変わるからです。
電子シャッターでの高速連写は、静かで速い一方、7 章のローリングシャッター歪みが出ることがあります。ゴルフクラブやラケット、プロペラのように速く動くものが曲がって写ったら、メカシャッターに切り替えます。
室内と暗い場所#
体育館や室内の発表会、夕方のグラウンドは、動きものの撮影でもっとも難しい場面です。速いシャッター速度が必要なのに、光が足りません。
5 章の相反則で考えると、選べるのは次の 3 つだけです。
- 絞りを開ける —
f/2.8かそれより明るい望遠ズームや、f/1.8の単焦点。いちばん効きます - ISO を上げる —
ISO 3200〜12800。ノイズは現像でかなり減らせます(13 章) - シャッター速度を少しだけ下げる — 動きの頂点(ジャンプのいちばん高いところ、ボールを打つ瞬間)は動きが一瞬止まるので、そこを狙えば
1/500sでも止められることがあります
ストロボは、試合や発表会では使えないことが多く、使えても選手や演者の邪魔になります。
流して動きを見せる#
止めるのではなく、動きそのものを見せる撮り方もあります(7 章)。
- パンニング — 被写体をカメラで追いながら
1/30s〜1/125sで撮ると、被写体が止まり、背景が流れてスピード感が出ます。走る車、自転車、走る人に - ブレをそのまま残す — 被写体を止めずに、手足や車輪だけを流します。踊る人や、回る遊具の動きを見せるときに
- 後幕シンクロのストロボ — 遅いシャッターで動きを流し、最後にストロボで被写体を止めます(11 章)
露出のシミュレーションを 1/15s で開くと、走る人がどれだけ流れるかを見られます。
子どもと動物#
- 目の高さで撮る — しゃがんで、相手の目の高さから撮ると、相手の世界に入った写真になります(15 章)
- 瞳 AF(動物の瞳)を使う — 目にピントが来ていることが、生き生きした写真の条件です
- こちらから動きを作る — 名前を呼ぶ、おもちゃを動かす。来る方向が分かれば、置きピンで待てます
- 背景に気を配る — 動き回ると背景が次々に変わります。すっきりした背景の場所に誘導できると楽になります
撮る前に確かめること